厳しい状況もチーム一丸で乗り越えたい
前節、群馬クレインサンダーズをホームに迎えた2連戦では、1勝1敗と星を分け、シーズン成績を5勝4敗とした琉球ゴールデンキングス。なかなか勝ち星を伸ばせない苦しい状況が続いているが、10/28には、「個人の事情」で試合を欠場していたケヴェ・アルマの退団も発表され、より厳しいチーム状況となっている。
第6節の相手は、昨季CSに出場したシーホース三河。その後もアウェイ連戦が続いていくが、チーム一丸となって厳しい状況も乗り越えていきたいが…
群馬戦Game2の観戦メモ

アルマ退団後の想定される選択肢

試合前メモ
試合前に考えていたこと、注目していたポイント、チームや選手への期待をまとめました。専門的な展望ではなく、一バスケファンとしての率直な思いや視点を綴っています。
- 松脇と佐土原の頑張り
三河には、ジェイク・レイマンやアーロン・ホワイト、トーマス・ケネディなどのウイングポジションでプレーできる外国籍・帰化選手が在籍している。キングスのインサイドプレーヤー(カークやクーリー)は、スピードのミスマッチとなり狙われるため、ローがマッチアップすると思われるが、40分間続けるのは現実的ではない。
そのため、外国籍にもあたり負けない日本人選手2人(松脇と佐土原)の活躍が必要不可欠だ。前半はファウルトラブルに気をつけながら、三河ウイング陣に気持ちの良いプレーをさせないことに期待したい。 - 3P被弾を避けるための工夫
三河の特徴として、3Pシュート成功率の高さがある。試合前の時点でリーグ3位の36.2%で、1試合あたり、11.3本成功させている。中でも、チームトップスコアラーのダバンテ・ガードナーは、インサイドで強さを発揮する選手であるが、今季はチームトップの48.4%で3Pシュートを沈めている。ガードナーに対しては、クーリーやカークがマッチアップする時間帯が多くなると予想されるが、ガードナーのPnPからの3Pを被弾しないためにも、スイッチDFなどの工夫が必要となってくる。 
試合結果
| 琉球 | Q | 三河 | 
| 15 | 1Q | 17 | 
| 32 | 2Q | 22 | 
| 16 | 3Q | 18 | 
| 14 | 4Q | 25 | 
| 77 | FINAL | 82 | 
| 3FG% | FBP | PITP | SCP | TOV | 
| 36.7 | 15 | 28 | 6 | 8 | 
データ引用元
 りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 B1リーグ戦 2025/10/29 三河 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイトB.LEAGUEの「試合情報詳細」をご紹介。男子プロバスケットボールリーグ、B.LEAGUE(Bリーグ)。
観戦ひと口メモ
試合を観ながら感じたこと、印象に残ったプレーを“ひと口メモ”としてまとめました。専門的な分析ではなく、一人のバスケファン、キングスファンとしての素直な感想や気づきを綴っています。
三河
- 全員でリバウンドに絡む
キングスの強みは、リバウンドだったが、この試合では三河にチームリバウンドで上回られた。その要因となったのは、インサイドプレーヤーだけでなく、日本人選手含めた全員がリバウンドに絡んでいたことだ。また、3Pシュートが外れた際のロングリバウンドを多く拾われていたことも印象に残っている。 - 高確率のフリースロー
この試合で三河は18本のフリースローを獲得し、17本を沈めた。キングスの12/16も決して悪い数字ではないが、三河がフリースローを確実に沈めたことが、ビハインドの状況でも、折れることなく、試合をつなげたのだろう。 - 勢いに乗って、一気に仕留める。
最大11点リードしたキングスだったが、4Qに三河の猛追を受ける。ディフェンスでは、キングスのボールムーブメントを麻痺させ、オフェンスではミスマッチを適切に利用したボールムーブから得点を重ねた。岸本からスティールして、逆転のレイアップを決めて以降、三河はキングスにリードチェンジをさせず、突き放す3Pシュートなど、勢いに乗られると、止められないチームだった。 
琉球
- セカンドユニットの頑張り
今季の課題は、岸本やローが下がった時間帯のセカンドユニットで、オフェンスが停滞し、ディフェンスで崩れてしまう部分にあったが、この試合では、セカンドユニットが試合を作っていた。
荒川や佐土原が、前半だけで2桁得点を挙げ、ディフェンスでも激しいプレッシャーでTOVを誘発、ミスマッチに対しても身体を張って守り切る場面もあった。
特に、ここ数試合厳しい内容が続いていた荒川のオフェンスが、シュート、パスの状況判断、ファウルドローンの巧みさなど、冴えきっていたことは今後にも明るい要素となるだろう。 - 細かい部分の粗さ
3Q、キングス9点リードで迎えた三河のラストオフェンス。キングスのチームファウルは2つで、ファウルを上手く使いながら守り切ることを目的に、平良彰吾やウィタカなどが起用された。しかし、三河側もファウルストップに来ることは100も承知。長野が3Pシュート態勢でファウルをもらって、フリースローをきっちり3本沈めたことで、6点(2ポゼッション)差になってしまった。4Qの入りで3ポゼションか、2ポゼッションかでは、精神的な気持ちの持ちようも大きく変わる。三河としても、長野の3本のフリースローは4Q逆転に向けて良い弾みとなっただろう。
また、4Qでも、ローがフラストレーションをぶつけてしまいテクニカルファウルをコールされてしまった。このフリースローを沈められたことで、3点差が4点差となり、次のポゼッションに3Pシュートを被弾したことで3ポゼション差になってしまった。これは、追いかける側としては状況が天と地ほど変わる。
細かいところだが、選手には、プレーだけでなく試合展開、状況を把握してもらいたいものだ。 - 「こだわり」が招いた失速
前述した通り、この試合ではセカンドユニットが好調で、前半リードもセカンドユニットが中心となって作ったものだった。一方、スターターの5選手は、試合に入り込めておらず、3Q終了時点(6点リード)で、出場中の+/-で+だったのは、ロー1人だけであった。スターターに対してマッチアップする三河の選手も強力なメンバーであることは考慮する必要があるが、それを差し引いても、この試合はスターターではなく、セカンドユニットがリズムを作っていたと思う。
しかし、この試合の勝負所を任されたのは、いつもと変わらない5人。オフェンスでは、ローのアイソレーションが中心となり、ボールムーブメントが失われ、ディフェンスでは、強度が下がり、連続失点、リードはみるみるうちに縮まった。極めつけは、逆転を許し、スコアが欲しい重要局面では致命的な連続TOVを犯してしまい、敗戦を決定づけてしまった。
スターターのメンバーは、これまでの”常勝”キングスを支えてきたメンバーでもあり、実績も信頼もあるメンバーだが、その日の調子よりも、これまでの貢献を優先した「こだわり」が勝ちゲームを落とした一因であることは指摘しておきたい。 - 「自分が変わる」必要があると気づいて
前節の群馬戦の試合後会見で、桶谷HCはヴィック・ローについて、「ヴィックはヴィック」「彼を変えるよりも、彼の良さを引き出したい」旨を語っていた。*
確かに人を変えるよりは自分が変わったほうがエネルギーは使わないし、「良い部分を引き出す」という考え方自体は間違っていないと思う。
ただ、ヴィックはヴィックで、周りが自分に合わせることを期待するのではなく、自分が変わる必要があることにも気付いてほしい。この試合では、シュートタッチが思わしくなく、フラストレーションが溜まっていたのか、最終盤の重要な局面でテクニカルファウルをコールされてしまった。キャプテンとして、エースとして、背負っているものが大きいことも知っているが、自らの行動が、チームにどのような影響を与えているのか、今一度冷静に考えてほしい。 
*群馬戦後の会見模様:アウトナンバー
Best5&MVP
この試合のMVPとBest 5を主観に基づく、独断と偏見で勝手に選出。スタッツ上の数字だけでなく、ルーズボールやディフェンス、流れを呼び寄せるプレーなどスタッツに残らないプレーも評価。
荒川颯
出場直後は、3Pシュートand1を献上するなど、群馬戦でも見られたディフェンス面の課題が見えた瞬間もあったが、オフェンスではセカンドユニットを引っ張ることに成功。前半だけで11得点を記録。ディフェンスも徐々に強度が上がり、2スティールを記録。
また、この試合では、得点力だけでなく、パス・シュートの状況判断もよく、敗戦試合の中でも明るい要素となった。
佐土原遼
チームトップの16得点。群馬とのGame2で3本決めた3Pシュートはこの試合でも好調で、3本成功。
ディフェンスでは、スイッチ後にガードナーやホワイトとマッチアップする機会も多くあったが、押し負けることはなく、守ることが出来ていたことも好印象。
徐々に佐土原らしさが出てきたように思えるが、この調子を継続していくことが重要である。
トーマス・ケネディ
3Q終了時点では2得点と本来の活躍はできていなかったが、最終盤、勝負所の2本の3Pシュートや2本のフリースローを沈めた勝負強さは、敵ながらあっぱれである。
特に、テクニカルファウル後の4点ビハインドの状況での、ケネディの3Pシュートは試合を決めるシュートになったことは間違いない。
西田優大
試合を通して、3Pシュートのアテンプトが1本なく、西田にやられたという印象はそこまでないが、気づけば二桁の12得点。岸本からTOVを誘発しての逆転のレイアップや、最終盤でのリードを広げるジャンプショット、アシストなど、やはり西田は三河の中心選手であることを思い知らされた。
[MVP]ダバンテ・ガードナー
両チームトップの21得点(3P3/5)
ガードナーに対しては、キングスも人一倍警戒しており、特に好調の3Pシュートに対しては、サイズのミスマッチ覚悟でスイッチディフェンスを採用して、打たせないようにしていた。
しかし、4Qで、キングスのディフェンスに綻び(甘いコンテスト)が出た瞬間を見逃さず、3Pシュートを射抜き、痛い場面でスコアされてしまった。
ここ数シーズンは、Bリーグ初期ほどの大暴れぶりが見られなかったが、今季は得点力爆発のガードナーが、多くのチームを苦しめそうだ。
まとめ~次戦に向けて~
勝ち試合を落としただけに、チームに思うことは沢山ある。
ただ、ファンは応援することしかできない。
アルマが退団して、選手層的にも、雰囲気的にも苦しい状況だが、この状況を乗り越えた先にこそ、真の強さが得られると思う。
週末は越谷戦と、アウェイの戦いが続くが、チームメイトを信頼し合い、チーム一丸で戦ってほしい。
  
  
  
  
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