昨年のイタリア遠征に続いて、今年はオーストラリア遠征。
オーストラリア遠征2戦目の相手は、NBL10度優勝の強豪Perth Wildcats。
キングスのヴィック・ローの古巣であり、Bリーグの他クラブにもPerth Wildcatsに在籍経験のある選手がいる。
試合前に注目していたこと
- オーストラリアバスケへの対応
初戦のSEM戦では、フィジカル強度・高さ・判定基準の違いに苦戦。
4Qでは順応していたが、それがSEM側の強度低下なのか、キングスの修正の成果なのかを見極めたい。 - リバウンドの争いでの工夫
SEM戦はリバウンドが40-46。高さで劣る中、セカンドチャンスを確保できずに苦しんだ。
Perth戦では、どのようにリバウンドを確保するのか、工夫に注目。 - Perth Wildcatsのレベル感とBリーグの現在地
Bリーグは「世界2位のリーグ」を目標に掲げているが、実力面ではその壁は非常に高い。
SR渋谷がPerthと対戦していたが、序盤は競る展開も見せていた(最終的には離されたが)
現状のキングスがPerthにどこまで通用するのか、日本バスケの現在地はどこなのか。
試合結果
琉球 | Q | Perth |
27 | 1Q | 21 |
27 | 2Q | 31 |
19 | 3Q | 22 |
20 | 4Q | 29 |
93 | FINAL | 103 |
観戦ひと口メモ
試合を観ながら感じたことや、印象に残ったこと、起きた事象について、”ひと口メモ”として記載。
Perth
- SEMよりインサイドの強さは感じない
平均身長ではSEMとPerthは大きく変わらないと思われるが、選手の印象として、「厚み」よりも「アジリティ」に長けた選手が多いように感じた。キングスのローのような体格の選手が沢山いる感じ。 - ビッグマンの足を狙ってくる
パワー勝負というよりも、アジリティ勝負で、キングスのインサイド陣の足を狙い、ズレを突いて得点を重ねる。 - メイソン・ジョーンズやばい
昨季のNBAGリーグのファイナルMVPらしい。3Pシュートを10本中7本成功させた。フィニッシュスキルが高く、23分間で22得点。岸本とのディープスリー合戦も楽しめた。
キングス
- インサイドの主導権を握る
SEM戦とは打って変わり、キングスインサイド陣の”幅”がPerthを圧倒し、1Qのチームリバウンドは16-4と圧倒。オフェンスリバウンドも試合を通して22個獲得し、アウトサイドシュートが決まらなくても競ることのできる”キングスらしい”試合展開となった。
パワーで劣るPerthに対して、シールを多用。ファウルドローンでフリースローを獲得。 - オーストラリアの強度に慣れた
SEM戦4Qに感じたオーストラリアバスケへの”慣れ”は間違いではなかった。それぞれの選手が、自らの長所を存分に発揮し、チャレンジすること、失敗することを恐れないでプレーしていた。 - ファウルトラブルに苦しんだ
2Qと4Qは早い時間にチームファウルが重なり、ディフェンス強度が上げられない時間帯も多かった。Perthへボーナスフリースローを献上することも多く、オフェンスがうまくいかない時間帯にフリースローで繋がれてしまった。 - 不運な笛も
試合を通して、IRSが導入されていれば覆っていたであろう、微妙なポゼッション判定がいくつかあった。ファウルについては、コールされてもおかしくない接触が吹かれていただけなので、キングス側が笛にアジャストするしかない。
不運な笛も含めて「海外遠征」
#2 小針幸也
状況判断が課題。
スピードを活かして、ペイント侵入はできていたが、その後のキックアウトパスをジャンプしながら出す場面が多く、受け手にとっても厳しいパスだった。
加入して数試合だし、コールセットの面でもこれからだと思うので心配してない。
#4 ヴィック・ロー
シュートタッチが低調ながらも10得点、5アシスト、8リバウンド。
過去2シーズンはシーズン序盤のシュートタッチは低調だったけど、後半になるに連れて上がってきたし、まだ心配することでもない。
#8 佐土原遼
積極性、泥臭い仕事も素晴らしかった。コーナー3Pの確率が上がってこれば…
トランジションで走ってくれるの本当ありがたい。
シュートアテンプトは10本。加入時にロールプレイヤーに収まること思っていたが、キングスの主力、日本人エースになりそう。
#10 荒川颯
シュートアテンプトが無かったのは残念。
SEM戦から変わらず、リバウンドへの意識は素晴らしかった。
#12 ケヴェ・アルマ
1番試合に乗れていなかった印象。トランジションDFで、メイソン・ジョーンズのディープスリーに対してコンテストに行かなかったのは、桶さん激怒案件かも。
フリースローの調子も今一つで6本中1本の成功。フリースローは大切にしてほしい。
椅子引きディフェンスなどディフェンスで駆け引きしていたのは良き。
▶椅子引きディフェンス成功シーン
#14 岸本隆一
メイソン・ジョーンズがディープスリーを決めた直後のポゼッションで、ディープスリーを決め返すのは、流石”岸本隆一”
スポルティング製ボールにも慣れたのか、3Pシュートだけでなく、ミッドレンジからのフローターもあった。
4Qの3Pシュートがほしい時間帯に、ステップバック3Pを放ったが、相手の長い腕にブロックされ、阻まれたのは貴重な経験かも。
▶ディープスリー合戦シーン
#15 松脇圭志
3Pシュート1本成功。波を減らしてコンスタント決めれるようになれば、心強いオプションになる。
オーストラリア遠征2試合を通して、フィジカルの強さは通用していた。
#17 崎濱秀斗
SEM戦4Qのような活躍はできなかったが、これも経験。
万能にこなすことを目指すのではなく、一つでも良いから、チーム内では絶対負けない能力を磨いてほしい。
現代バスケではミッドレンジジャンパーは非効率と言われるが、崎濱はミッドレンジジャンパーを高確率で決めきる能力があると思うんだけどね…
#18 脇真大
SEM戦では欠けていた、積極性が戻っていた。
ブロックを恐れず、ペネトレイトからの得点やクーリーとの合わせも素晴らしかった。オフに取り組んだ3Pシュートもプレシーズンゲーム初成功。
▶クーリーとの合わせシーン
#34 小野寺祥太
メイソン・ジョーンズやイライジャ・ペッパーとのマッチアップでは、小野寺のディフェンス力が輝いていた。
4Q点差が離れそうな時間帯での効果的な3Pシュートも。
▶メイソン・ジョーンズとのマッチアップシーン
#45 ジャック・クーリー
クーリーの幅を活かしたシール、ポストアップが効いていた。
オフェンスリバウンドは5個、ファウルドローンは4個、フリースローは6本中6本成功の24得点の大活躍。
コンディションは既に仕上がっているし、今季は平均ダブルダブルを期待できそう。
#53 アレックス・カーク
身体はまだまだ重たそうだが、クーリー同様、カークの幅はPerthに効いていた。
ミッドレンジジャンパーが何本かあったが、今季のオプションの1つになるのだろうか(3BIGの場面で、カークがミッドレンジジャンパーを打つのは勿体ないと思うけど)
DNP
ウィタカケンタ
平良彰吾
オーストラリア遠征では2試合ともにDNP。
リーグ戦ではベンチ登録12名なので、この2選手がベンチ外となってしまうのだろうか。
まとめ
Perthに敗れてしまったものの、自分たちの長所を存分に発揮して、前半はリードで折り返し、4Qの最後まで可能性を感じられる内容だったことは、チームにとって自信になったはず。
このオーストラリア遠征2試合で得た課題や自信をシーズンにどのように活かすかが大切。
オーストラリアバスケの壁は厚かったが、日本バスケがその壁を越えられる日もきっとくる!!!
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